2011年12月11日日曜日

発表会終了…フィジカル・コンピューティング授業

毎年恒例となっておりますが、SPPの助成を受けて取り組んできたフィジカル・コンピューティングの授業の発表会を、去る12月8日(木)、無事に行うことが出来ました。当日は、いつもご指導やお手伝いを頂いている皆さんにもご参加いただき、子どもたちの発表を聞いていただいたり、不具合があったところの調整などに対応していただいたりして、とても助かりました。

今回の課題は、以前にも紹介した通り「人と人とのコミュニケーションを助ける道具(コミュニケーションツール)を作る」ことでした。ミッションとして、「壁(直接顔を合わせることができないという意味)の向こうにいる人とコミュニケーションができる」ことを条件として、KNOPPIX 6.0.1(使っているコンピュータが古くて新しいのは動かないので)上のScratchを中心に、PicoBoardWeDoHelloBoardなのぼ〜どなどをつないでコミュニケーションツールを作らせました。 この環境は、昨年度も使ったものと同様だったので、作業をしていくうちに子どもたちも思い出したらしく、1年前よりはスムーズに作業が進んだと思います。いつの間にか、Linux版のScratchでマイクで録音することもできるようになっていて、活動の幅も広がりました。あとは、日本語入力に対応して頂ければ、何も言うことはありません。
#音を出すためには、起動スクリプトをちょっと書き直す(「-vm-sound-alse」に変更)必要がありました。
#KNOPPIX自体のUSBメモリの扱い方がイマイチなので、保存したはずのファイルが見当たらなくなるという致命的なトラブルが発生してとても困りましたが…。

面白かったのは子どもたちのアイデアです。壁の向こうの相手が何かをしたことをセンサでどのように感知させるのか、そして、それをScratchで処理してどのように(別の人にわかるように)表現するのかと考えた末に、モールス信号を音や光で表現して文字情報を送り合うというアイデアが出てきたり、病気や体の不自由さから話ができない人のために、音や光、手話の写真、パネルに書いた言葉をモータにつけた矢印で指すなどの道具を作るというアイデアが出てきたりして、よく考えるものだなぁと感心しました。モールス信号はデジタルで表現しやすく、通信に使うには良いアイデアだと思いました。さらに面白かったのは、「言葉の壁」に挑んだ子どもたちがいて、Scratchで日本語を認識する仕組みを作って、それに合った外国語を話す仕組みを考えたり、日本語が書かれたボタンを押すと、別の言語に翻訳してくれるという仕組みを考えたりしていました。

この活動は、総合的な学習の時間を使って、普通の子どもたちに取り組ませています。つまり、プログラミングや電子工作などに興味があって、特別に集まった子どもたちではなく、そもそもそういうことに縁のない子どもたちに取り組ませているということです。この活動によってものごとを分析的に考えたり、別のことに応用しようというアイデアが出てきたりして、同じ子どもたちに2年間取り組んでもらって、教育的効果が高いと感じました。ゲーム機を使ってドリル学習をすれば計算力は向上すると思いますが、真の意味での「生きる力」が身につくとは限りません。これからも、こういう活動を通して子どもたちの「生きる力」を伸ばしていけたらと考えています。

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